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働く人と企業をつなぐ。さまざまな視点を活かしたプロダクトデザイン

働きたい時間と働いてほしい時間をマッチングするスキマバイトアプリ「タイミー」。好きな時間に好きな場所で働けるという新しい働き方を提供しています。

今回は「タイミー」のプロダクトデザインを担当する石井 つぐみさんにインタビュー。「タイミーはまさに求めていたサービスだった」と話すつぐみさんに、仕事への思いをお聞きしました。

※本記事の内容は2023年10月インタビュー時点のものです。2023年12月に一部追記しています。


プロフィール

石井 つぐみ(Tsugumi Ishii)
美術大学卒業後、 衣類等のODM(Original Design manufacturing)企業に入社。主にアナログ媒体のグラフィックデザインや企画・提案を担当する。その後、デジタルクリエイティブエージェンシーへ転職し、デザイナー兼アートディレクターとしてインスタレーションやウェブ等のクリエイティブを経験。2023年4月からはタイミーのプロダクトデザインを担当している。

生きやすい世界を作るためにクリエイティブの道へ

ーー本日はよろしくお願いします!つぐみさんはかなり早い段階からクリエイティブ領域に関心を持っていたと聞きました。

そうですね。 画家を目指し小学3年から油絵を始め、小学5年から高校受験を視野にいれて、デッサンと水彩画の勉強を始めていました。中学に入ると、より実際にあるだろう高校の授業を意識して、デザイン関連の書籍などを読んだりしていましたね。

ーーびっくり……しっかり将来を見据えていたんですね。そもそも美大を目指したきっかけはなんだったのでしょうか?

自分の感受性や感性、考えや見えているものを「ヨシ」としてくれたのが、私にとっては美術だったからだと思っています。

今でも明確に覚えているのが、4歳の時に「紫陽花の切り絵」を幼稚園で作った時のことです。幼稚園の先生に「お手本通りに作ってね」と言われたのですが、私が作ったものが他のみんなとは違っていて……。「周りと違うでしょ?」と諭す先生の言葉に納得できない気持ちが芽生えました。

なぜ“人と違う”と“間違い”なのかが理解できず、違和感を覚えました。これに納得してしまうと自分が消えてしまうようなよくわからない感覚になり、子供ながらに「納得してはいけない」と思ったんです。もともと絵を描いたりものを作ることは好きでしたが、この「納得してはいけない」という自分の意見を証明するために生きようと決意したことが美術の道に進むきっかけだったと思います。

ーー絵画とデザインを学ぶ中で、デザイナーの道に進もうと決めたんですね。

そうですね。年齢を重ねるうちに、アウトプットを出すことで社会貢献したいという気持ちが強くなっていきました。

芸術はどこまでも自分自身と向き合うもので、ベクトルが常に内側に向いていると感じています。アウトプットの仕組みがあるとするならば、そのベクトルが外に向いた瞬間に凄まじいエネルギーを放出するというイメージになると思います。

そのため、芸術の分野でのアウトプットがどんなに評価されても、自分には興味が持てず響かないんです。これでは「納得してはいけない」という証明につながらないと考えるようになりました。

しかしデザインはその逆です。
デザインの分野で社会に対して貢献ができれば、意図したかたちで評価されることとなり、それがさも当然のように扱われることで「納得してはいけない」という証明につながると考えるようになりました。

ずっと印象に残っていた「タイミー」で挑戦したい

ーータイミーに入社するまでのキャリアのあゆみを教えてください。

美大卒業後は、衣料用繊維製品の製造・企画・販売等を行う企業でキャリアをスタート。衣類のグラフィックや売り方を含めた企画・提案や販促物の制作など、主にアナログ媒体の経験を得ました。

その後「グラフィックを作る」といった見た目の感覚的な表現だけではなく、その手前のデータ収集や考察、理論構築といった「アプローチを考える」ところから関わりたい。「何を作るか」から考えたいと思い、より流動的でスピード感があると感じていたデジタル業界へ転身しました。

大学でメディアアートの勉強をしていて、当初から卒業後は何年かアナログの経験を積んだらいずれは...と思っていたので、戻って来た感じがしましたね。

コトを生み出すクリエイターを目指して、主にインスタレーションやウェブ等のアートディレクションからデザインまで。アートワークで得た問題提起の目で本質を探し出し、デザインの力で課題解決をするアートディレクター兼デザイナーとして歩んできました。

ーータイミーに入社するきっかけはなんだったのでしょうか?

きっかけは「タイミーを思い出した」からでした。

実はタイミーがリリースされたばかりの時期に、たまたまアプリを見つけてダウンロードしていたんです。ただ、当時は新卒2年目で副業も禁止。実際に使うことはありませんでした。

それでも「働きたい時に働ける」という画期的な働き方がずっと印象に残っていたんです。私自身、大学での制作活動とバイトの両立の中で、とくに「シフトを決める」というのがすごく大変だった思いがあって……。タイミーを見つけた時は「これこれ!こういうのが欲しかった!」と感動したものです。

当時の感動が転職活動でたまたま「タイミー」という企業名を見た時にフラッシュバックして……(笑)。ぜひ働きたいと思って応募しました。勝手ながら「これもご縁だな」と思いましたね。

さまざまな視点をプロダクトに反映させる

ーータイミーではどのような役割を担われているんでしょうか?

働き手と事業者をつなぐことに注力しているチームで「働き手が持つスキルや経験の認定・可視化(*1)」を進めています。

働き手のみなさんには、それぞれの就業経験によって得た技術や強みが必ずあります。それを可視化することで、働き手はより自身の強みを活かせますし、募集をかける事業者側も「この人になら任せられる」という不安解消につながると思うんです。プロダクトデザイナーとして、それをいかに表現するかを日々試行錯誤しています。

ーーつぐみさんのお仕事のこだわりをお聞きしたいです。

意識的に、自分の軸や自分の仕事を最小の「点」で捉えるようにしています。軸を点で持っていると、関連のある点がたくさん生まれた時にそれらが放射線のように広がるんです。
でも最初に軸を「線」で捉えてしまうと、「点」には関連していても「線」には関連していないという事柄と結びつけられなくなってしまうんですよね。

最近までは無意識だったんですが、とある若いクリエイターの方と話している時に「自分の経験や知見が広がっていかない」「たくさんリサーチしているのに引き出しが増えない」という悩みを聞いて、自分の軸が「線」ではなく「点」であることを感じたんです。

普段のデザイン業務に関しても「これもやったほうが良い」を無限に広げて「デザイナーの仕事はここまで」という線引きをしてしまわないことにもつながっていると感じます。

ーータイミーで働いてみて感じている魅力はありますか?

一緒に働くメンバー一人ひとりが魅力的ですね。すごく自走力のある人が多いなという印象を受けています。
誰か一人の「スーパーマン」を求めていないというか……。個々人が強くて自走している、かつバラバラにならないという絶妙なバランスを保っています。そういう意味では、全員がスーパーマンなのかもしれません(笑)。

そういうメンバーと一緒に働けること自体をすごく魅力に感じています。

また、プロダクトの複雑性や難しさも「タイミーは面白い」と思える大きな魅力です。タイミーはツー・サイド・プラットフォームなので、働き手と事業者双方の視点を検討する必要があります。そこにタイミー社内のセールスやカスタマーサポートなどのビジネスサイドの視点を加えて「どこにどれだけ還元するか」のバランスを取るのが難しいんです。

すべての視点が大切ですが、全部の意見を聞きすぎると身動きが取れなくなる……かと言って、一部だけ切り取ってしまうと破綻を招きかねません。
カオスに入り組んだ視点を丁寧に紐解いて、全体のバランスを取っていく複雑さが大変でもあり、面白くもありますね。

自分の強みを還元して良い化学反応を起こしたい

ーー最後に、今後の目標を教えてください!

私は制作会社でクライアントワークに携わってきました。日常的に「何を作るべき」で「どうあるべき」かという提案をしてきたこともあって、いわゆるバックキャスティング(*2)を得意としています。 本質的な課題解決のために、本来あるべき姿を導き出し、そこから逆算して現在の取り組みに落とし込むような提案のプロセスを日頃から行っていました。

この考え方をうまくスクラムの開発体制に接合させるような動きをしたいと思っています。スクラム開発では、優先順位が高い機能から開発を進めるため、短い期間で最大限の成果を期待することができますが、目の前の開発にとらわれ、想定よりも小さなアウトカムに収まってしまったり、満足してしまったりすることもあると思います。

そういったリスクに対して、バックキャスティングを得意とするデザイナーが加わることで、良い化学反応を起こせるのではないかと考えています。

また、これからタイミーのデザインチームも大きくなっていくと思うので、社内で運用できるデザインシステムの構築などにも挑戦していきたいです。


*1)つぐみさんの手がけた「働き手が持つスキルや経験の認定・可視化」は無事に機能追加しました!

*2)最初に目標とする未来像を描き、その未来像を実現するための道筋を未来から現在へさかのぼって記述するシナリオ作成手法

(取材構成編集・文:Mamiko Kamiya)

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