【VPoEインタビュー】これまでタイミーをつくってくれた人に感謝を。“ええやん”マインドで挑むエンジニア組織づくり
「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」をミッションに掲げるタイミー。事業の成長に伴い、エンジニア組織も大きな変革期を迎えています。
今回はエンジニア組織の運営責任者であるVPoE(Vice President of Engineering)の赤澤 剛さんにインタビュー。赤澤さん自身のキャリア感に加えて「なぜ今タイミーにジョインしたのか」「理想のエンジニア組織とは」など、熱い想いをお聞きしました。
※本記事の内容は2024年7月公開時点のものです。
プロフィール
失敗も含めたキャリアの積み重ねが「今の自分」につながっている
ーー本日はよろしくお願いします!まずは、タイミー入社までのキャリアについて教えてください。
インターンシップを経て、ワークスアプリケーションズのソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートしました。ERPパッケージソフトウェアの開発やプロダクトマネジメントに従事した後、シンガポール支社で技術拠点の立ち上げを経験。会計製品の機能開発をしたり、アメリカの顧客に対する機能開発をリードしていました。約3年ほどのシンガポール生活の後は日本へ帰国。再び本社で顧客の業務用プロダクトの開発に注力しました。
その後、新天地として選んだのが2社目のLINE(現・LINEヤフー)です。toBとtoCの両面にタッチできる新銀行設立プロジェクトに奮闘していました。プロジェクトがひと段落した後は、ユーザベースへのジョインを決意。グループ内企業のアルファドライブでのCTOの打診を受けて経営課題と技術課題の接続と解決実行に注力していくようになりました。
ーー進む道を「選択」する場面もあったと思います。もともと「こんなキャリアを歩みたい」というキャリアビジョンはお持ちだったのでしょうか?
実は計画的なキャリア設計があったわけではありません。そもそも学生時代は経済学を専攻しており、コードは趣味で書く程度。最初から確固たる意思を持ってソフトウェアエンジニアのキャリアに進もうと決めていたわけではなく、インターンシップを通して「時間が経つのが早いなぁ」と感じたことがきっかけでした。設計や実装がうまくいかないこともありますが、少なくとも「終業時間まで長い」という苦痛がないならエンジニアの道も悪くないと思ったんです。
もっと正直に言ってしまうと、学生時代は金銭的に余裕がなかったこともあって給与水準の高さを企業選びで重視せざるをえなかったところもありました(笑)。もちろん最初から明確なキャリアビジョンを描けている人は素敵ですが、決してそれがないからといって焦る必要もないと思っています。
私自身、明確なキャリアビジョンはありませんでしたが、その時々で自分なりの決断を下し、全力でフルスイングしてきました。それが結果的に「今のキャリア」につながっているので、そんなキャリアの歩み方も決して間違ってなかったなと思いますね。
ーーこれまでのキャリアを振り返って「ターニングポイント」になったような出来事はありましたか?
いろいろあるのですが、1社目のシンガポール支社時代は「今のマネジメントスタイル」を築けた時期だったと思っています。当時の私は「お客様のためになるなら自分の命を削って製品をつくろう」というスタンスでした。私生活は度外視でとにかく自分にもメンバーにも厳しく……。当然周りのメンバーには大きな負担になっていました。
ある日、一緒に働いていたメンバーに「エンジニアとしてもマネージャーとしても尊敬している。でもこのままだとついていけないです」と面と向かって言われたんです。黙ってやめていくことも陰で悪口を言うこともできたはずなのに「長く一緒に働くためにここを変えてほしい」と真摯に訴えてもらい、感謝とともに反省しました。
さらに当時はお客様からも「寝ていますか?」と聞かれる始末。寝ていないと答えると「きちんと寝て、ご飯もたくさん食べてください」と言われたんです。よく考えればそれは当たり前の話で、お客様からすれば、自社の重要な基幹システムを任せている人間が疲弊しているほど不安なことはありません。本当にお客様のためを思うなら、自分たちが長く継続的に価値を提供できる状態をつくるべきなんだと、自分の中の価値観が大きく変わっていきましたね。
自分の価値観とフィットした「タイミー」に惚れた
ーー前職でもご活躍の中、次のステージに進むことに決めた理由を教えてください。
前職のアルファドライブでCTOに就任し、自分なりに仕事と向き合っていました。私にとってCTOは初めてのポジション。当初は自分が理想とするCTO像と自分自身に乖離があり、打診を断ろうと思ったこともありました。それでも就任から3年目を迎える頃には「自分のようなCTOもありかも」と感じられるようになっていたんです。
組織も大きくなり、優秀なメンバーが揃っている。一見すると順風満帆だったのですが、ある日ふとCTOとしてルーチンワーク的な動きをしている自分に気づいたんです。半端な状態で続けるのはメンバーに申し訳ない。そんな想いと、いよいよ自分のようなタイプじゃないCTOが必要とされている感覚もあってCTO職をバトンタッチしようと考えました。
ーーそんな中、タイミーから猛アタックがあったと聞きましたが……。
今思い返しても熱烈なアトラクトをしてもらいました(笑)。実はCPOのZIGOROuさんには転職にあたって幾度となく相談をさせてもらって、その流れでタイミーに誘ってもらったんです。とはいえ、お声がけいただいたころには既に別の会社に行くことを考えていて……。尊敬する人たちに誘われて嬉しいけど、断らないといけないというモードでした。
そんな中でも何度か会食するうちに心から「一緒にやりたい」という気持ちが大きくなっていったんです。断るつもりでスタートしたところから最終的には入社を決めたんですからアトラクトって馬鹿にならないですよね。でもそのくらいタイミーは魅力的でした。
ーーさまざまなアトラクトがあったと思いますが、赤澤さんはタイミーのどこに一番惹かれたのでしょうか?
自分の価値観にあったプロダクトであることに一番惹かれましたね。睡眠時間を除くと、人が「はたらく」時間は人生の半分を占めています。そう考えると、仕事が「単なる収入を得るための手段」にとどまってしまうのは惜しいというのが個人的な気持ちです。
とはいえ、価値観は人それぞれなので「仕事って楽しいものだ」と強要するつもりは全くありません。楽しいに越したことはないけれど、大切なのは「悪くない」というニュアンス。そして、今この日本でもっとも多く「仕事って悪くない」を生み出せるのはタイミーだと感じました。
タイミーが提供する「時間や場所に制約されない自由な働き方」は、人に新しい出会いと経験を与えることができます。出会いと経験を積み重ねて自分の価値が高まれば「仕事も悪くない」と思える人も増えるはず。話を聞けば聞くほど、タイミーのビジョン・ミッション、そしてプロダクトそのものにどんどん惚れ込んでいきました。
歴史に敬意を払い、より良い組織を目指す
ーータイミーのVPoE就任から現在までどのように立ち回ってきたのでしょうか?
まずはCTOのkameikeさんを「暇」にしようと思っていました。もちろん本当に暇にしようというのではなく、戦術実行をノールックで手放し「エンジニアリングの戦略責任者」としての本来の役割に可処分時間を使えるような状態にしたいということです。そのためには、VPoEが「戦術」と「運営」の責務を全うすることが求められます。
入社してから最初の1か月以上は「知る・理解する・寄り添う」ことにフォーカスをしました。組織の抱える問題というのは比較的すぐに見つかるものです。しかし、そこには必ず経緯がある。
Bという問題があったときに「なんでBを放置しているのか」と追及することは簡単ですが、もしかしたら「Bという問題を認識していたが、先にAという大きな問題の解決を優先させた」という経緯があるかもしれません。
その経緯を汲み取らずに「問題だ」と声をあげても「いや、わかっているし」という心情になりますよね。なので、まずはここまでタイミーを作り上げてきた人たちに感謝を持って理解する。少しずつ関係性をつくってから問題に着手できるように動いてきました。
歴史に敬意を払う。この徹底こそ問題を解決し、より良い組織をつくるための最良の手段だと思っています。今までやってきたことには「ええやん!」と肯定し、そこからはしっかり次の課題に向き合えるように「ええやん」で終わらせず、次の進化を目指すことが大切です。
ーー今までのタイミーも良い組織でしたが、さらに上を目指すということですよね?
そうですね。そして、それが難しいところでもあると思っています。一定できているものをより良くしていく過程においては、これまで得た成功体験や勝ちパターンをあえて崩しにいくことも必要になってきます。
最初からできていないことをやるならシンプルですが、できていることを覆すなら「なぜ崩すのか」「どんな風に良くしていきたいのか」の説明責任を果たさなくてはいけません。中長期的なゴールに向かって新しい体制をつくっていくのは簡単なことではないと思います。
タイミーには、素晴らしいマインドやムーブがたくさんありますが、それが個人・チーム単位にとどまっていて、組織として後押しできていないのも一つの課題です。既にタイミーが持っている素晴らしい要素をきちんと構造化・言語化して「その動き良いね、最高やで」と背中を押してあげられる状況をつくっていきたいなと思います。
それぞれの“彩り”を「ええやん!」と楽しめる組織へ
ーー赤澤さんはタイミーでどんなエンジニア組織をつくっていきたいですか?
「はたらくに“彩り”を。」を生み出すサービスを提供するエンジニア組織は当然に彩りを持つ組織です。この“彩り”とは「個人の特性や志向、さまざまな異なる要素を持つメンバーたち」のこと。その彩りを決して否定せず「ええやんええやん!」と楽しめる組織カルチャーを強くすることが私の使命だと思っています。
多様性を歓迎する組織の中でエンジニアが「個」として生きていける状況がつくれたら、それほど嬉しいことはありません。マネジメント層のメンバーには日頃からよく言っているのですが、タイミーで活躍することと、エンジニアとしての市場価値に乖離が出るのは「アウト」だと思っています。
タイミーのプロダクトを通じて、お客様へより多くの価値を届ける。それが必然的にエンジニアの成長になり、極論タイミーを辞めるときに「タイミーでめちゃくちゃ良い開発してたんだね」と評価してもらえる状況をつくっていくことが大切だと思います。
言ってしまえば、個として生きていけないエンジニアにしてしまうことは「エンジニアリングマネジメントの罪」です。VPoEとして「タイミーでの活躍=個のエンジニアとしての成長」という環境を整える。その上で「他社でも活躍できるけど、タイミーが楽しいから会社に居続けたい」と思ってもらえるエンジニア組織をつくっていきたいですね。
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(取材構成編集・文:Mamiko Kamiya)