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「はたらく」を通じて人生の可能性を広げたいからこそフルリモートにコミットする - CTOインタビュー

「一人ひとりの時間を豊かに」をビジョンに掲げるタイミー。⼀⼈ひとりが⼈⽣の可能性を広げられるような「はたらく」のインフラを⽬指しています。

今回はなぜ、タイミーの開発組織がフルリモートで働ける環境に強くコミットしているのかをCTOであるkameikeこと亀田にインタビューしました。
アメリカの大手ITや日本でも出社回帰の動きが活発になる中でタイミーがフルリモート環境を続ける理由やリモート組織を率いるための工夫など様々なお話をお伺いしました!

※本記事の内容は2024年9月2日公開時点のものです。


CTOプロフィール

亀田 彗(Kei Kameda)@kameike
​大学時代、スタートアップやメガベンチャー企業でインターンを経験した後、2017年、ピクシブ株式会社へ入社。アプリエンジニアとしてiOSアプリ開発へ従事する傍ら、メンターとしてタイミーをサポート。2019年6月、タイミーへCPOとしてジョイン。エンジニア採用や開発組織の構築に携わっている。2020年8月、CTOへ就任。

出社回帰の動きが増える中でフルリモートを大切にする理由

ーーアメリカの大手ITが出社を求めたり、日本でも出社回帰を検討する企業が増えてきました。その中でタイミーの開発組織がフルリモートにこだわる理由を教えてください

こだわり続ける理由として、我々のミッションである「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」というものがあります。このミッションに従い、従業員にも働く中での選択肢を最大化することを目指しています。そのため、タイミーの開発組織ではフルリモートOKという働き方を推進しています。
ただし、本社である東京の汐留オフィスへの出社を制限している訳ではなく、出社もフルリモートも許容し、働き方の選択肢を増やすということを大事にしています。

フルリモートという選択肢を持つことで、ライフステージの変化にも対応しながら継続して働き続けることができますし、タイミングに応じてタイミーで働くことを検討して貰いやすくなると思っています。
フルリモートを通して、多様な人々と働く機会が増えると考えています。タイミーのサービス開発において、多様な視点は非常に重要です。これはアルバイトサービスのプロダクトを磨き上げる上でも、エンジニアリングの観点からも大事にしていることですね。

フルリモートは開発者体験に寄与するのか

ーーエンジニアが選ぶ「開発者体験が良い」イメージのある企業「Developer eXperience AWARD 2024」で23位にタイミーは入りました。開発者体験にフルリモートは寄与していると思いますか?

フルリモートは開発者体験に寄与していると考えています。
具体的に言うと、フルリモートで働く場合、各自が自宅に最適な環境を構築することになりますが、人によって最適な環境は異なります。
例えば、立ちながら働きたいと思う人は昇降式デスクは必須アイテムになるでしょうし、椅子やモニターに強いこだわりがある人も多いですよね。
特に、モニターの選び方に関しては、2台のモニターを使いたい人や、モバイルモニターと通常のディスプレイを組み合わせて作業環境をポータブルにすることでパフォーマンスが向上する人もいます。
フルリモートでは、このような個々の働き方に合わせた環境整備が可能であり、それが開発者体験に大きく寄与していると感じています。

フルリモート環境下での開発生産性の工夫

ーー 生産性という話がありましたが出社回帰する会社の中にはリモートだと生産性が低いため、という話もあります。会社によって見解が割れるところではありますが、フルリモート組織の長として生産性に対して工夫しているところはありますか?

難しい問題ですよね。
いくつか工夫している点はあって基本的にハイブリッド型の運用、例えばオフラインで3名、オンラインで3名みたいなことが発生しない様にはしています。ミーティングやコミュニケーションの手法は、出社しているかどうかに関わらず、すべてオンラインベースに統一しています。これにより、会議室にいるメンバーだけで話が進んでしまったり、オンラインの参加者が話に入りづらくなるといった非対称性を避けることができます。

難しい問いに悩むCTO

組織構造に関してですが、フルリモート環境ではコミュニケーションのチャネルが限られるため、同期的なコミュニケーションを貴重な資源と考え、その資源をどこに投下するか、ということを大事にしています。
では、その重要な資源をどこに投下するか、というとチームワークに同期コミュニケーションの資源を集中させたいと考えています。
リモートワークしていると、どうしても隣のチームの動きなどが見え辛いといったことがあると思います。タイミーではそうなっても問題ない様にチーム内で意思決定が完結したり、顧客に向き合って価値を提供し続けられる様に組織構造を作っていくということを強く意識しています。

リモート組織のコストに迫る

ーータイミーではリモートHQを導入しています。サービス利用企業の中での中央値が5,000ptの中でタイミーでは15,000ptを掛けており、一般的な企業の3倍コストを掛けているという見方も出来ます。この意思決定について教えてください。

リモートHQの導入を決定したのがオフィス移転の計画を進めていたタイミングだったのでオフィスでは商談用のブースを設置したり、ディスプレイや机の選定を行ったりと、さまざまな設備投資が検討され、進んでいました。
オフィスに出社しないエンジニアやプロダクトマネジメントのメンバーにもオフィス同様の環境提供をすることを考えると15,000ptぐらいあると良さそうというのが意思決定の背景です。大盤振る舞いというよりも、オフィス出社の方とリモートワークの方が同じ環境を得られるようにするための平等な投資だと捉えています。
15,000ptあるとちょうど、ディスプレイと机と椅子が一通り上位グレードのもので揃えることが可能です。特に、週5日出社していた方がタイミーに転職してきた場合、自宅の作業環境を整えるのは大きな負担になることが考えられますので適切な投資だと考えています。

補足(過去参考記事など)

リモート組織の拡大とマネジメント

ーー組織も急拡大していく中でリモート組織のマネジメントの難しさも増してくるのかなと想像しています。マネジメントのスタイルや意思決定の仕方など、どの様にアジャストしていったのか教えてください。

マネジメントスタイルの話だと1on1は徹底して実施する様にしています。
フルリモートではない組織から来た方々からは「1on1の頻度が多いですよね」と言われることもあるぐらいには1on1の実施を大事にしています。
頻度としては週次で実施していて、そこでメンバーの悩みや日々の細かな変化をちゃんと拾える様にしています。

また、リモート環境ではテキストコミュニケーションが増えるため、コミュニケーションガイドラインも作成しています。テキストでのやり取りは口頭とは異なり、撤回が難しいこともあるため、発言には慎重さが求められます。また、ログとして残ることを考慮し、記録がドキュメントとして長期的に参照される可能性を意識しながらコミュニケーションを行うようガイドラインを設けています。

さらに、情報発信に関しても、非同期的にドキュメントベースでの発信を増やし、円滑なコミュニケーションを図っています。特に、開発における意思決定のプロセスやその証跡は、議事録を設定し、必ず画面共有をしながら話すなど、記録に残る形で進めることを徹底しています。これにより、後からでも誰が何を決めたのかが明確にわかるようにしています。

フルリモート体制の中で直面した課題とその向き合い方

ーーフルリモートの体制を維持していく上で今まで一番課題だったなというポイントとそれをどうやって乗り越えたか教えてください。

正直に言うと、これは今でも課題だと感じているのですが、オフラインコミュニケーションで得られるチームビルディングや、雑談などの偶発的なコミュニケーションが生まれにくい点ですね。逆にこれこそが出社してオフラインで仕事することを推奨している人たちが狙っているメリットの部分だと認識をしています。

なので、我々はそこを仕組みで解決しないといけないと思っています。
例えば、雑談の機会を意図的に作ったり、技術的な横串の会議体や組織軸・チーム軸での運用方法を試行錯誤しています。
また、交通費を全額負担して半期に一度の合宿を実施したり、チームのオフサイトの予算を組むなど、リモートで解決しづらい問題に対して積極的に取り組んでいます。
オフラインであれば自然に解決される問題がオンラインだと解決されないことがあるので、いかにそこを見つけて、テコ入れしていくかみたいなところは今後も継続的に取り組んでいかないといけないと思っています。

リモートワークで得られる副次的な効果

「じゃあ、オフラインの方がコミュニケーションコストが安くていいね」っていうことになるかといえば私は一概にそうではないと思っています。

組織がスケールしていくと、情報の分断が発生するのは避けられません。
タイミーはこれまでもオフィスはワンフロアであることにこだわってきたのですが、事業が拡大し、従業員が増え、支社が出来たりすると、どうしても情報の流通は難しくなります。情報の分断が初めて生まれてくる。
こういったスケールして生まれる、情報流通の課題をフルリモートで働いていることで先んじて直面し、解決している感覚があります。
ドキュメントコミュニケーションの徹底や、繋がりが薄い人同士を結ぶ仕組みが既に組織に充実していたりするので、この情報流通の課題に対しては既にタイミーは一定対応が出来ていると考えています。
20名、30名の時は感じていなかったリモートワークから得られたカルチャーが今、プロダクトマネジメントも合わせて150名規模になっているタイミーの開発組織を強くドライブしてくれているので今後のスケールや事業拡大のことを考えてもリモートワークは有効だと思います。

これからフルリモートにしていきたいと考えている会社はどうするべきか

ーー今、週1リモートOKぐらいの会社のCTOにこれからフルリモートにしたいんだけど、と相談されたらどの様なアドバイスをしますか?

結構フェーズによるので一概に言えないとは感じています。
フルリモートをやっていく、ということであれば全体適応をしっかりとさせていく。先ほども言いましたが、同じチームで3人出社、3人リモートみたいな状況を生み出さない様にしていく。この様な状況なら会議自体はリモートを前提とした運営にする、といったことの徹底は重要だと考えます。
あとはフルリモートに必要なプロトコルみたいなのを定める。
例えば、議事録を取るとか、コミュニケーションツールを使うとか、画面共有しながらやるみたいなところを、全社組織的にある程度受け入れてもらえるような体制にしていくことも大事です。
ここが整備されていれば、例えば週3で出社している営業の方にインタビューする際もリモートでスムーズにコミュニケーションが取れます。この2つが揃っていれば、フルリモートに移行していくということにはそこまで大きく困らないのではないかなと思います。

ーーそして、リモート体制を整備していけばスケーラビリティの高い組織にもなっていく訳ですね?

そうですね。開発組織をスケールさせていきたい想いはどの会社のCTOも同じなのかなと思います。ただ、ここも難しくて僕の感覚で言うとシード期とか、まだPMFを探索しているみたいな状況では週5出社で顔を突き合わせてやる方が良いと思っています。このタイミングのスタートアップは本当に会社の生死が掛かっているので。
ただそこから2チームあります3チームありますってなってきてどんどん増えていくみたいなフェーズに突入してきたらフルリモート適用みたいなところを考え始めるみたいなのが、スタートアップのライフサイクル的にはマッチしているのかなと。

最後にタイミーが気になっている人にメッセージをお願いします!

フルリモート組織であることもそうですし、TDE10など働きやすい環境ではあるんじゃないかなと思います。
私は働きやすい環境≒成果が出しやすい環境だと捉えていて、タイミーはモノづくりやお客さんとしっかり向き合える会社だと思っています。
ドキュメントカルチャーや今活躍しているメンバーのソフトスキルとしてのリモートワーク適性の高さであったり、リモート環境でも意識的にコミュニケーションを取って、信頼関係を構築できる人が多いチームです。
今後も多様なメンバーと「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」というミッションの実現に向けて邁進していきたいので、このミッションの実現に興味のある方とお話できることを楽しみにしています!

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(取材構成編集・文:かわまた)

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