【タイミーのフルリモート通信記】プロダクトマネージャーが語るオンラインの質を向上させるオフラインの使い方
タイミーはミッションである「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」を実現するために、従業員にも働く中での選択肢を最大化することを目指しています。
その一環としてタイミーの開発組織ではフルリモートという働き方を推進しています。
このシリーズではフルリモートにおけるマネジメントの流儀や働く環境へのこだわりなど様々な角度で様々な人にインタビューしていきます。
今回はプロダクトマネージャーの高石さんにフルリモート組織におけるプロダクトマネジメントについてインタビューをしました。
※本記事の内容は2024年9月公開時点のものです。
プロフィール
チーム体制とプロダクトマネージャーの役割
—— 今日はよろしくお願いします。リモート関連のお話をお伺いしていく前に前提となるPdMの業務やチーム構造などについて教えてください
私たちの組織はSpotifyモデルで言われるSquad<スクワッド>という単位を用いてチームを構成しています。そして、Squadをいくつか束ねたTribe<トライブ>と言われる単位があり、タイミーでは3つのTribeが構成されています。
出会いを最適化し、スケールさせる「マッチングTribe」
スポットワークに必要な手続きをなめらかにする「スポットワークシステムTribe」
プロダクト開発を支える「開発プラットフォームTribe」
この中で主に機能開発に関わるマッチングTribeとスポットワークシステムTribeにプロダクトマネージャーは所属しております。この2つのTribeにはおおよそ5つ程度のSquadが束ねられており、それぞれにPdMが配置されているので全体で10名程度のPdMが活躍しています。
私はとあるSquadのプロダクトオーナーを務めながら、マッチングTribeのグループプロダクトマネージャーとしての役割も担っています。マッチングTribeに所属しているPdMのマネジメントも担っていますが、基本的にはモノづくりに割いている時間の方が長いですね。
フルリモートの時間の質をよくする為にオフラインを活用する
—— ここからが本題です。リモート組織におけるプロダクトマネジメントで工夫している点はありますか?
逆説的ですけど、フルリモートの質を向上させるために、オフラインを戦略的に活用しています。
具体的には、四半期や半年ごとのプロジェクトキックオフ、あるいは11月に行われる全社員が集まる全社サミットなどオフラインで集まる機会が必ずあります。そういった日には、チームに声をかけてチームだけで懇親会を開いたり、他部署の人と引き合わせたりといったことを積極的に行っています。
—— なぜそのようなアプローチを取られているのでしょうか?
初対面でオンラインというのは話しかけ辛いですよね。
「お忙しいところすみませんが、〇〇部署の××です。お時間よろしければ、お話しできませんでしょうか」
といった感じで声を掛けるだけでも相当勇気が必要です。それ以上に、話しかけることすら未然に諦めてしまっているケースも多いと考えられます。
特に新入社員の方々にとっては、こういったことでコミュニケーションコストが高くなりがちです。
もちろん当人にとって話しづらいというのもあるのですが、結局ここでコミュニケーションが遅いと結果的に顧客に価値が届くスループットが大きく落ちてしまうのが一番の課題です。顧客にとって社内がオンラインかオフラインかは直接関係ないので、顧客価値を最速で届けるためにコミュニケーションのハードルは解決していく必要があります。
ところが、一度オフラインで会って、たとえ飲み会でなくても、一瞬業務の話をして自己紹介をしておくだけで、次のオンラインでのコミュニケーションコストが一気に下がるんです。
「前に話した〇〇です」とか、もっと仲良くなれば「あの例の件なんですけど」みたいな感じで、10文字ぐらいで会話を始められるようになる。
だから、四半期に1回でいいので、オフラインで生の接点を持っておくことが、長期的にオンラインの生産性を大きく引き上げることにつながると考えています。
PdMには入社歴がまだ浅い人も多いので、機会創出には特に注力しています。例えば、これまで私が呼ばれていた他部署のオフラインイベントに、積極的にメンバーに参加してもらったりしています。こういったものはどうしても入社歴の古い人に機会が集中しがちなので機会が正しく分配される様に意識しています。
意思決定と解決をチームで完結できれば速い
—— 高石さんはグループPdMとしてCPOなどの経営陣とお話することも多いと思います。そういった場で決まる方針も多いと思いますが、リモート環境の中でどの様に方針等をメンバーに共有していますか?
確かに私はCPOなどの経営陣と定例もありますが、タイミーの文化として所謂、トップダウン的なアプローチを行うことはあまりありません。
階層も少なくして、各チームに大きな権限を委譲しています。
例えば来期の主要なビジネス目標の様な方針を考える上で前提となる部分についてはしっかりと共有しますが、作る機能はチームに委ねられています。
知り合いのPdMに聞いても、チームへの権限委譲は出来ている会社なのではないかなと感じます。私たちの考え方として意思決定とその解決までをチームで完結できるということを重視していて、それはその方が速いから、ですね。
—— 新しく入社されたPdMにも権限の大きさに驚かれると聞きました
そうですね。
最初は戸惑う方もいらっしゃいますが、慣れてくると楽しいという方が多い気がしますね。
最初のうちはやっぱり、どこまで触って良いのか、こういうことをするには許可が必要なのか、とか疑問はあがるのですがそれを素直にあげてくれるのは良いことだと思っています。
その都度、「ここまでは委譲されてますよ」とか「こういうケースがあったら聞いてくださいね」とか当たり前のことではありますが、コミュニケーションを取る様にしています。
この様にチームが権限を持って自由にやる環境下では「やってほしいこと」を指示するのではなく、「やってほしくないこと」を明確にするということは重要なことの一つです。
例えば、「課題発見からリリースまで完全に任せるが、3ヶ月間リリースが無いことは避けて欲しい」や「方向性は任せるが、今期の事業戦略から外れることだけは避けて欲しい」みたいなことは伝えます。これは一種の「制約によるマネジメント」と言えますが、逆に言うとそれ以外は自由なので責任は求められますね。
このスタイルだとプロダクトの本質的な価値創造に集中でき、不要な調整や許可を求める必要がないので純粋なプロダクトマネジメントを実践したい人材にとって理想的な環境だと思います。
オンボーディングから顧客に向き合う
—— 直近1年でPdMも増えましたよね。リモートにおけるオンボーディングで工夫している点はありますか?
私の領域では最初の1ヶ月は内部の組織や開発チームよりも、外部、営業組織や顧客に目を向けてもらうようにしています。
タイミーではタイミー上にユーザーインタビューをスキマバイト案件として掲載することで簡単にユーザーインタビューを実施することが可能です。
これを活用して入社後すぐに5人のユーザーと話してみる機会を設けたりしています。
最終的に権限委譲されたプロダクトチームとして自律的に走れるようにになって貰いたいので一次情報を自ら収集し、理解することが非常に重要だと考えています。
特にユーザーインタビューについてはオンボーディング期間に限らず、継続的にやっていくことになるので慣れるという意味合いでも重要です。
あとは主要なコラボレーターとなる人たちとの1on1ミーティングも設定します。これは開発チームだけでなく、PMM(Product Marketing Manager)やアナリスト、営業組織の方々との接点も含みます。特に、マーケティングと営業の橋渡し的な役割を担うプロダクトマーケターとの関係構築は重視しています。
最後に先ほど話した「オフラインでの接点がオンラインの生産性を高める」の考え方に基づいて、入社してから1-2ヶ月以内には近しい領域のPdMとオフラインで集まる機会を設ける様にしていますね。
成長のダイナミズムと数字だけで測れないタイミーの面白さ
—— 最後にPdMから見たタイミーの面白さを教えてください!
タイミーの面白さを語る上で前提となるのは今の顧客規模の話は欠かせないと思っています。今や、旅行先で体験したり、電車の中で利用したり、地元に帰ってもタイミーを使っている人を見かけることが増えました。地域も広いし、業界も広い状況です。
これは仮説の探索を行う上でも重要で、顧客基盤が大きくなってきたからこそ様々な角度で検証を行えるようになったと感じています。
例えば、新しいスタートアップだとユーザーのN数が少なくて、フィードバックを得るのに半年もかかったりします。ABテストひとつとっても、1週間でサンプルサイズが集まる企業と、3ヶ月かかる企業では、開発スピードに大きな差が出てしまいます。その点、私たちは迅速にフィードバックを得られる環境にあり、PDCAを高速に回せるのはPdMとして楽しいですね。
もう一つ、タイミーの特徴の一つとしてオンラインとオフラインの融合にあります。
例えば、ワーカーがアプリを使って仕事を見つけ、実際に現場で働くという形で、リアルとデジタルがシームレスにつながっています。この、完全にオンラインで完結しないという点がユニークなポイントですね。
オフラインの要素があるということは、数字だけでは測れない部分や、直接足を運ぶ必要がある難しさがあります。でも、それを乗り越えられれば、それが組織としての競争力になるんです。私たちには、ユーザーインタビューが大好きなプロダクトマネージャーが多いんです。足を運ぶことを厭わない組織文化があるからこそ、他社との差別化ができるんだと思います。
今後の展望としては、単なる「未経験者向けの短時間アルバイト」という枠は超えてきているので、より広い「はたらく」という領域全体をターゲットにしていきたいと考えています。日本全国で働くパート・アルバイトの数だけでも1,500万人以上いると言われています。これだけでも我々にとって、非常に大きい伸び代です。
さらに広く「はたらく」というところを捉えると日本の就業者数は約6,800万人ですから、まだまだ無限大の未来があるのかなと思っています。
—— 本日はありがとうございました!
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(取材構成編集・文:かわまた)