【CTO×CPO対談】新しい開発組織体制で挑む「はたらく」課題を解決するプロダクトづくり
「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」をミッションに掲げるタイミー。「はたらく」にまつわる社会課題の解決を目指しています。
プロダクト開発組織では、2023年に新たな組織体制がスタート。今回はCTOの亀田彗(@kameike)とCPOの山口徹(@ZIGOROu)による対談を実施し「新しいプロダクト開発組織の体制」と「これからのタイミー」について話してもらいました。
※本記事の内容は2024年2月公開時点のものです。
プロフィール
事業が加速する中で開発組織づくりが急務に
ーー今回は、タイミーの開発組織をリードするお二人に「タイミー開発組織のこれまでとこれから」をテーマにお話を聞ければと思います。kameikeさんは創業当初からタイミーを見てきたと思いますが、当時の開発組織の状況はどうでしたか?
亀田:今でこそ会社全体で1000名を超える組織となったタイミーですが、私が入社した当初は「THE・スタートアップ」。会社規模もまだまだ小さく、開発も数名のエンジニアで進めている状況でした。
「タイミー」は提供する顧客価値が大きいプロダクトであると同時に、構造が複雑という特徴もあります。そのプロダクトをスケールさせるために顧客要件やリーガル要件の整理など、やることは盛りだくさん。エンジニアが個別にプロジェクトを抱えていて、他部門から開発への差し込み依頼も多く、優先順位付けが難しい時期がありました。
とくに私が入社した2019年5月頃はその傾向が顕著で、プロダクトとしてきちんと統制をとっていく必要に迫られていたんです。それまでも業務委託としてタイミーには関わっていたのですが、それをきっかけにCPOに就任しました。
ーー入社当初はCPOの役割を担っていたんですね。どのような経緯でCTOに就任したのでしょうか?
亀田:2020年には開発組織のメンバーが20名を超えて、ある程度の組織規模になったタイミングでCPOからCTOへと役割を変えました。CPO時代からエンジニアリング寄りのこともしていましたし、開発組織づくりに注力したいという個人的な想いもあってロールチェンジを選択したんです。
とはいえ、プロダクトマネジメント側を見なくなったというわけではなく、片足を突っ込みながら経営とのカウンターパートを務めていました。ですが、それも組織規模の拡大にともなってどんどん厳しくなっていって……。エンジニアリングもマネジメントもどっちつかずになってしまい、本当に困っていました。一時期は他のボードメンバーから「大丈夫か」と心配されるほどでしたね(笑)。
ーーその頃はZIGOROuさんもいなかったですもんね。大変だ……。
亀田:そうなんですよ。ZIGOROuさんが転職活動をしているという噂を聞いて「これは!」と声をかけました。
山口:2023年2月頃に話してから、4月には業務委託として参画、翌月には執行役員VPoT就任とファーストコンタクトからの展開は早かったですよね。
亀田:ZIGOROuさんにジョインいただけることになった時は「首の皮が一枚つながった」とほっとしました。
頼もしい仲間が集まり「どこもかしこも手が足りない」から脱却
ーーZIGOROuさんから見て、タイミーの開発組織の印象はいかがでしたか?
山口:やっていることに対して開発組織の規模が小さいなと(笑)。私が参画した頃だと全体で現在の半分以下の規模だったと思うんですけど、そこにはデザイナーやPdMなども含まれるので純粋にエンジニアの人数ではなかったんですよね。どこもかしこも手が足りない印象でした。
会社が急成長していく中で、今まで築いてきた開発スタイルが通用しない部分も出てきていて、自分たちの成長角度と会社が求める角度がずれてきているフェーズでもあったのかなと思います。
その中で一番の課題は「採用」。私が入社した時点では決してうまくいっているとは言えない状況でした。そもそもEM(エンジニアリングマネージャー)がいませんでしたからね。
亀田:ZIGOROuさんにご入社いただいた時は、マネジメント側は僕ともう一人のEMの二名体制でしたもんね。スケールする組織とは思えないような体制だったのは間違いないです……。
山口:そうそう(笑)。ミドルマネジメント層が圧倒的に少なくて、いつも予定がパツパツ。とくに面接は代わりがいないので、いつも自分のターンという状況でしたね。
亀田:ありましたね。1日の予定が面接で埋め尽くされていたこともしばしばでした。それだけ応募があって、うれしい悲鳴ではあったんですけど。
山口:エネルギーを使うので疲労感が大きいですよね。採用基準も一緒に働く仲間だからこそ厳しくしていたところもあったと思うんですけど、その一つひとつを解きほぐして採用のパイプラインのファネルを改善する必要がありました。
亀田:そうでしたね。なかなか手をつけられていない部分だったのですが、そこを少しずつクリアにしたことで人を増やせた感覚はありますね。ミドルマネージャー採用の緊急度を高くして、うまくご縁がつながったことも、できる打ち手が増えて採用の行動量が上がった要因だったのかなと思います。
ーー2023年の下期くらいからマネジメント層が厚くなりましたよね。ZIGOROuさんの入社から1年も経過していないことになりますが、今や開発組織の規模は倍以上になりました。組織にも大きな変化があったのではないでしょうか?
山口:そうですね。ちょうど5月を起点として中核メンバーがテンポよく入社してくれて、急速な組織化がなされてきました。私たちも徐々にEMに業務を引き渡すことができて、やっと組織構造や役割分担について議論できるようになったんです。
そんな中「プロダクトマネジメント側の属人性が高い」という課題が上がって、プロダクトマネジメント組織をしっかり作っていこうという話が出たのが8月頃のこと。そのタイミングで、私の肩書きがVPoTからCPOに変わり、2023年10月には、Director of Product(以下、DoP)として大歳華王志さんを迎えました。
彼がプロダクトマネジメント組織の運営責任者として「実行」を担ってくれるようになってからは、CPOとして長期的な視点を持った「プロダクトマネジメント組織の在り方」や「プロダクト・事業の方向性」に頭を使えるようになったんです。すごく楽になったというか晴れやかな気持ちになりましたね。
亀田:昨年末からはエンジニアリング組織の方もVPoEが必要だということで、ZIGOROuさんにもお手伝いいただきながら採用活動を進めました。
晴れて2024年2月に赤澤剛さんを迎えて、VPoEとして活躍いただいています。心強いメンバーが揃い、やっと「スタートライン」に立ったという感じですね。
タイミーの“良さ”が広まっていくのが嬉しい
ーータイミーの「社会的意義」の高さに誇りを持って働くメンバーがすごく多いと思うのですが、お二人から見ていかがですか?
山口:個別に想いを聞いたわけではないのですが、仕事のスタイルや発言を見ていると「みんな事業に誇りを持っているんだな」と感じますね。採用活動をしていてもタイミーの社会的意義の高さに共感してくれている人が多いと思います。だからこそみんな「我がこと感」で向き合ってくれているのかなと。
亀田:そうなんですよ。もともとタイミーは1求人サービスとして見られることが多かったんです。でも実は裏側で雇用に関するプロセスを自動化していている稀有なプロダクトであることが伝わり始めたのかなと……。タイミーを拡張していくと「働き手と事業者双方にとって良い未来がくるぞ」という確信を持ちながらみんなが仕事できているのはすごく嬉しいですね。
最近では、社外からも「タイミーの良さ」に触れる声が聞こえてくるようになったんですよ。知人がレンタカー会社の所長をされているんですけど、その方が「タイミーに出会って、アルバイトの課題から解放された」といってくださって……。車の清掃スタッフの募集でタイミーを使ってくださっているんですけど、来た方が良ければ長期採用するようなサイクルで回してくれていて、理想的だなと思います。
▲長期就業にまつわるお話はタイミーラボで公開中!
山口:働き手にとっても「シフトから解放される」というのは大きいですよね。シフトに縛られずに「働きたい時に働ける」のが本当に素晴らしいなと。いろんな場所で働けるから本当に自分に合う仕事を見つける機会にもなります。
労働力不足という社会課題を現実的なアプローチで解決できるのがタイミーの魅力です。社外からの声でいうとP2B HausのSotaro Karasawaさんの記事は良かったですね。
社外の人がタイミーに興味を持ってくれて記事にしてくれるのは純粋に嬉しいですし、貴重なフィードバックになります。karasawaさんに限らず、IT系のソフトウェアエンジニアによる「タイミーで働いてみた」系の記事が増えてきた感覚はありますね。
亀田:タイミーの良さに気づき始めてくれたんでしょうか(笑)。嬉しいな。
2024年は「将来に備えた基盤づくり」に注力
ーーこれからさらにタイミーを成長させるために2024年はどんな挑戦をすることになりそうですか?
亀田:2024年は「実験」の1年になりそうですよね。決めた構造に運用を充ててみて、改善すべきところがあれば適切なフィードバックがかかるようにできると良い運用を得られるのかなと……。タイミーでは「チームトポロジー」や「LeanとDevOpsの科学」などを参考にしている部分が多いので、時にはそこに立ち返りながら、うまく組織にはまるような軌道修正もしていけるといいなと思います。
山口:地道な積み重ねによって常にブラッシュアップされていく枠組みができると良いですよね。
組織運営においては「凡事徹底」が大切になってきます。たとえば、どういう課題に基づいて「それをやるのか」が伝聞でしか伝わらなかったり、一部の人しか知らなかったりするのはよろしくないので、そういうシーンは極力排除していかなければいけません。そういう「当たり前」を徹底するためにも設計しなければいけないことはたくさんありますね。
亀田:あとは、Moat(競合優位性)をいかに作るかが大きなテーマになりそうですよね。さまざまな顧客課題に対して「良い場所で働けると、良い人が働きに来てくれる」を実現し続けられる拡張性をプロダクトに持たせていくことが大事だなと思っています。
山口:顧客のタッチポイントにおけるさまざまなシナリオがあると思いますが、そこをいかに粘着度高くしていくかが重要ですよね。事業者がタイミーを利用して解決したい課題は、おそらく業種や事業規模によってもまったく異なるんですけど、解決できるボリュームを増やして「なくてはならない存在」になることが大切になると思っています。
とはいえ、個別対応を増やしていくとプロダクトの進化が鈍化するので、一定抽象化しながら全体最適な機能開発や組み合わせ可能なソリューションを提供していかなければいけません。抽象度と各業態の具合を行ったり来たりするのもタイミーというプロダクトを作る醍醐味だなと思います。
現時点で「タイミー」はほぼほぼ単一事業ですが、今後は新規事業やサブプロダクトが立ち上がるかもしれません。その準備は常にしておかないといけないですね。
競合も出てくると思いますが、外だけを意識するのではなく、私たち自身も「顧客の何を知っているのか」あるいは「何を知りたいのか」を追求して「今のままで良いのか」を常に見直していくことになると思います。楽しい1年になりそうです。
亀田:この1年の活動は将来の基盤づくりと言えますね。「やっていき」ですね。
お話しできることを楽しみにしています!
タイミーの開発組織はまだまだ試行錯誤を重ねていくフェーズです。組織構造が決まりきっていない中でも「役割に縛られずに自分の価値を発揮したい!」という方には楽しんでいただける環境だと思います。
私たちと一緒に「働き手にも事業者にも感謝してもらえる」プロダクトづくりに挑戦しませんか?少しでもご興味があれば、ぜひカジュアル面談にお越しください!
(聞き手:Ryo Kawamata)
(構成編集・文:Mamiko Kamiya)